ザァーーー・・・ザァーーーーーー・・・・・

パリッ・・・ボリッボリッボリッ・・・・・・

今年もやってきた雨の季節・・・別に嫌いなわけじゃないけど

ココに住む場合はちょっと厄介なことになるの



〜梅雨時の雨人形さん家〜



「ごめんくださーい!!」

ガラガラ・・・と戸を開けるのは傘に合羽に長靴と雨対策バッチリの月子ちゃん・・・

「・・・いらっしゃい、雨なのによく来たね・・・・・パリッ・・・」

「・・・だって、ほら・・・あの二人仲が良さそうだからね・・・

 言いたいこと言い合える相棒、みたいな感じでね・・・ちょっと居づらいの」

「・・・ふーん・・・で、今日はなにするの?・・・・トランプ?

 ・・・すごろく?・・・お人形あそび?・・・・・・パリッ・・・」

「うーん・・・時間ならあるし全部!」

「・・・・・おっけー・・・じゃああがって待ってて・・・・・・パリッ・・・」

「・・・ねえ、なのこちゃんさっきからなに食べてるの?」

雨具を玄関に置いて慣れた足取りで部屋に向かいながら聞いてきた

「せんべい・・・パリッ・・・」

「なんでずーっと食べてるの?」

「それは・・・・・・・・・・・見れば・・・わかるよ・・・・・パリッ・・・」

いつもどおりに部屋に案内される間に月子ちゃんはそれを見てしまった

ずずーっと縁側で湯のみのお茶をすする壱ノ妙がこっちに振り向いた

「あ、いらっしゃーい・・・こんな中よく来たねー」

「い・・・壱ノ妙さん?」

「ん?どうしたの?そんなに固まっちゃって」

無理もない・・・なにせ今の壱ノ妙は体中がアレで覆われているので

声を聞かないと誰だかわかるわけがないからだ

「い、いえ・・・なんでもないです・・・今日もお世話になります」

「そんなにかしこまんなくていいから、なのこと遊んでやってね」

「・・・保護者ツラしてるけど・・・家事は分担制だよ・・・・・パリッ・・・・」

「え、うん・・・知ってるよ」

「月子ちゃんじゃなくて・・・これ読んでる人にいってるの・・・・・パリッ・・・」

「なに言ってるの『姉』と『妹』なんだから分担制に決まってるじゃない」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

(姉?・・・わたし、そんなに年寄りだったっけ・・・・・・パリッ byなのこ)←?が無いのがポイント

(えーっと・・・確か、なのこちゃんはわたしと同じくらいで、

 壱ノ妙さんは『みぼうじん』になってから七年以上経ってから人形に・・・・ by月子)

「なにか問題でも?」

「「なんでもない」です」

このときの壱ノ妙のイメージ図が描けないのを管理人は―

「管理人のことなんて・・・きいてないけど」

ハイ・・・スミマセン





場面はほんのちょこっとだけ飛んで inなのこの部屋

「おやつ・・・もってきたよ」

「あ、ありがとう・・・・・・・・・・・・・」

「どうしたの?・・・・・パリッ・・・」

「これ、全部おせんべい?」

「うん・・・せんべい、きらい?」

「ううん・・・べつにきらいじゃないけど・・・・すごい量だね」

「・・・・・・・さっき・・・見たでしょ・・・・・パリッ」

「・・・う、うん・・・・できれば忘れたかったけど・・・」

「壱ノ妙ときたら・・・体が湿っぽくなってカビが生えるのを防ぐため、とか言って

 せんべい買ってきて・・・乾燥剤だけ集めたの・・・・・パリッ」

「じゃあさっきのってぜんぶ・・・」

「うん・・・ぜんぶ乾燥剤・・・・・・パリッ」

「・・・・・・・・・・・・・大変なんだね」

「・・・・・・・わかってくれる?」

「うん・・・じゃあ今日はせんべい食べながら、トランプとすごろくと

 お人形遊びと・・・あと・・・えーっと、えーっと・・・・・」

「月子ちゃん」

「なあに?」

「・・・・・・ありがとう・・・・・パリッ」

二人は手をがっしり掴んでまた一つ仲がよくなりましたとさ(オイオイ)





〜2時間後〜



「ねえ・・・なのこちゃん」

「ん?なあに?月子ちゃん」

「すごろくのマスをせんべいにしてみたのはいいんだけど・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「どうして全部ちがう種類なの?」

「それが・・・

『どうせなら、いろーーーんな種類のせんべいを買ったほうが面白いかな?なーんてね』

       ・・・って言ってた」

「う〜・・・これじゃどっかの伝説作るテレビみたいだよぉ〜」

「でも、ルールは守ってね・・・つ・き・こ・ちゃん?」

「・・・はーい」

通常のせんべいの10倍はあろうかというせんべいを抱えて月子ちゃんは途方にくれた

・・・・・・ゴメンね、月子ちゃん

「・・・・・・そういえば、壱ノ妙さんは食べてないの?」

沈んだ表情の月子ちゃんがふと思い出したように聞いてきた

「・・・食べてるよ・・・・・それはもう・・・・バリバリと

 前なんて、クルミも割ってたし」

「えっ・・・それって・・・?」

「そう・・・・・その時ついたあだ名は『くるみ割り雨人形』・・・長くて面倒だったから一日限りだったけど」

「・・・そっか・・・なんかピッタリだね」

そうだね・・・と二人でしばらくクルミを割る壱ノ妙の姿を想像して笑っていた





〜一気に帰宅時間!〜

「じゃあ・・・・バイバイ」

「うん・・・また来るね」

「もっていけるなら・・・・もっと持って言っても良いよ」

「・・・でも、これだけもらえれば十分だよ・・・・・ありがとね」

「それはこっちのセリフ」

「あはは・・・・じゃあね〜」

手を振って10倍せんべいなどを抱えた月子ちゃんの雨具姿を見送った

もう雨は止んでいるのに・・・





ずずずーっとお茶をすすりながら壱ノ妙は一言

「そういえば海苔にも乾燥剤入ってたわよねー」

・・・・・・なのこの苦難はまだまだ続く・・・・・





〜あとがき〜

普通のお話はお初になりますなー

いやー・・・ギャグにならないこのむなしさと言ったら

ほんとに困っちゃいますよ・・・困った管理人でスミマセン

まあ、ナニはともあれ読みきってくださった方

ありがとうございました!!



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